文系宇宙工学研究所へようこそ!



    宇宙ニュースが中心のブログです。同人サークル「液酸/液水」の告知ページでもあります。

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      ようこそ文系宇宙工学研究所へ。
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      ロケット打ち上げ見学の案内がメインのはず。種子島、内之浦のロケット&観光情報、最新の宇宙ニュースなどを紹介。
      打上げ見学記「ロケット紀行」シリーズ、打上げ見学と宇宙関係施設観光のためのガイドブック「宇宙へ!」などの同人誌を販売中。


     オススメ・お役立ち  
      ・種子島ロケット見学マップ(PDF版:2010年現在)はこちら(リンク先画面のダウンロードをクリック)
      ・ロケット見学案内記第6版(PDF版:2011年現在)はこちら(リンク先画面のダウンロードをクリック)

    イベント参加予定:コミティア122 配置:K-56a 於東京ビッグサイト 11月23日(木・祝)
            :おもしろ同人誌バザール4 配置:57 於ベルサール神保町 10月28日(土)
            :コミックマーケット93 (当落待ち)

    イベント以外での本の購入は以下のバナーをクリック↓
        紙版:自家通販     紙版:ショップ委託(通販あり)
         

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    H-IIA F31/ひまわり9号打上げ日決定
    JAXA | H-IIAロケット31号機による静止気象衛星「ひまわり9号」(Himawari-9)の打上げについて(JAXA)
     2016年11月1日(火)15時20分~18時18分(日本標準時)
     予備期間は11月2日(水)~平成28年12月31日(土)
    ということになりました。
     NHKの報道によれば、配管からのリークの補修で遅れているこうのとり6号機(H-IIB F6予定)は、2ヶ月以上遅れる見込みとのことで、H-IIB F6とH-IIA F31の順番が逆転しました。
     見に行きたいけれど、ちょっと厳しそうです。今年はSS-520による小型衛星打上げがある予定なので、そちらにターゲッティングしています。
     見に行かれる予定の方は、JAXAから配布されている
    平成28年度 ロケット打上げ計画書 静止気象衛星ひまわり9号(Himawari-9)/H-IIAロケット31号機(H-IIA・F31)(JAXA)
    を一読しておくといいでしょう。
     無事の打上げを祈ります。
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    磁気フライホイール実験装置「じんだい」EM(モックアップ)出現
     長野県須坂市に、「じんだい」(MABES)、「おりづる」(DEBUT)、「ぎんれい」のモックアップ/EMを展示する、新たな資料館ができました。名付けて「宇宙と農業資料館」。
     開設したのは中島厚先生。NALで人工衛星に関わるという、少々変わった経歴をお持ちです。「じんだい」・「おりづる」ではプロマネをされていました。
     航空宇宙三機関合併後はJAXA主幹研究員を務められ、その後信州大学に移られて小型衛星「ぎんれい」プロジェクトのプロマネをされましたが、今年3月に信州大を退任されるのをきっかけに、手持ちの資料を展示公開しようと自宅倉庫を改造して個人博物館を作られました。

     私は昨年2月、信州に「じんだい」のモックや資料があるから見に行かないかと誘われ、開館前前に訪問してきました。
    許可が頂けましたのでその際に撮影した写真を公開したいと思います。このようなものが残っていたことに驚くとともに、残して下さった中島先生に感謝の念がたえません。
     特に「じんだい」は、日本初の相乗り衛星という地位にありながらも種々の思惑によってあまり存在が表に出ていません。宇宙開発ファンの間では資料がない「幻の衛星」として有名で、「金色のサーマルブランケットにくるまれ、冷蔵庫のように四角い」ことしかわかりませんでした。今回搭載機器のバックアップ品や機器配置の検討に使ったモックが出現したことは、これらを知りたい方々にとっては大きな福音ではないでしょうか。
     今週末、改めてご挨拶に伺おうと思っています。

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    ・「じんだい」(MABES)機器配置検討用モックアップ
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     ・実機内部の機器配置写真

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    ・磁気フライホイールテストモデル。まだ稼働する。摺動部がないので非常になめらかな回転だ。

    IMG_5211(1)のコピー   IMG_5212(1)のコピー
    「おりづる」(DEBUT)展示用実物大模型と「ぎんれい」(SHINDAI-SAT)の実物大模型&実験に使用した強力LEDライト

    ※本記事の写真は原資料の所蔵者の意向により、法に定めのある場合を除きいかなる理由があろうと転載を禁じます。

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    ASTRO-H「ひとみ」の通信異常発生についてのまとめ
     去る2016年2月17日に打ち上げられた日本のX線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)に通信異常が発生しました。
     3月27日18時15分から記者会見が行われ、現状の説明がありました。

     続報は公式後方サイト「ファン! ファン! JAXA!」内のページにて随時アップされています。
    X 線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)の状況について(ファン! ファン! JAXA!)

     3月28日11時に報道向け発表があり、ファン! ファン! JAXA!にも掲載されました。
     3月29日19時にJAXAから報道向け発表あり、、ファン! ファン! JAXA!にも掲載されました。
     以下の記事は、JAXA発表、報道関係者のtweet、あるいは関係諸機関の発表をもとに、一部筆者のことばを交えて記しています。上からおおむね時系列順になっています。

     抜け漏れ、ミスにお気づきの場合はお知らせ下さい。以下は追加情報が出たり、後で気づいたことがあった場合に随時追記予定です。

     2016(平成28)年3月26日16時40分の運用から、電波が受信できていない。
     受信した分のテレメトリ解析は完了しておらず、加えて障害発生以降のテレメトリが取れていない。
     ゆえに、以下に記す衛星の状態の多くは状況証拠を集めた結果の推測と心得られたし。

    テレメが前述の通りなので推測であるが、現状は、
    1.姿勢異常発生
    2.それに伴って太陽電池に光が正常に当たらなくなる
    3.発生電力が低下
    4.衛星の電源が落ちる
    5.通信途絶
    というシナリオが考えられている。原因は現段階では不明。
     通信異常発生から現在まで、短時間の電波受信はできたがテレメトリを落とすまでには至っていない。
     また、太陽補足を示す信号(サンプレゼンス)も確認できていない。
     現在のところセーフモードへの移行は確認できていない。なお、「ひとみ」のセーフモードは地球指向で姿勢固定となる。
     観測機器の冷却に使う液体ヘリウムは、衛星の電源が落ちたまま一ヶ月たつと完全に蒸発してしまっている可能性があるが、機械式冷凍機を使うことによってそれと同等の精度は確保できる。
     衛星構体内部の温度分布が正常と異なっている。機器の温度分布を見ると、ある面側のものは本来より低く、他のある面は本来より高い温度となっている。これによって姿勢擾乱が起きたことが推定される。だが、現状どのような姿勢なのかはわからない。
     なお、姿勢は、このまま無制御の状態が続くと長軸に沿って回転するように収斂する。
     高度は、異常発生時刻ごろを境にわずかに下がっている。

     ここから先は地上のお話なので事実。

     衛星には通信速度が速い順にハイゲイン・ミドルゲイン・ローゲインのアンテナが搭載されているが、現在ローゲインアンテナを用いてコマンドを通し、テレメトリデータを落とすべく検討と運用を行っている。
     それぞれのアンテナがどういう役割なのかについては以下を参照。
    ローゲインアンテナはなぜ重要なのか:宇宙機のアンテナについて(togetter)
     復旧運用のために、アンテナと人員(JAXA「ひとみ」チームとメーカー等の技術者、合わせて3~40人規模)の優先割り当てを受け、運用時間を多くとっている。運用に用いるアンテナは、現在のところJAXAの国内外5通信所の6局(国内局は内之浦34m・内之浦20m・勝浦、海外局はサンチャゴ・マスパロマス・ミンゲニュー)である。外国の所有する局を利用する場合は、NASA DSNのゴールドストーンとキャンベラが考えられるが、通信可能時間が劇的に長くなるわけではないので今のところJAXA通信局だけでまかなう方針のようだ。

     現在JAXAでは、理事長をトップとする対策本部を立ち上げ、事態の検討と今後の対策立案を行っている。この、理事長をトップとする対策本部は、今回でJAXA発足以来3度目の立ち上げとなる。1回目は「みどりII」(ADEOS-II)の異常発生時、2回目はH-IIA F6打ち上げ失敗時で、ともに2003年のJAXA発足直後のことだ。

     次の記情報発表は3月28日午前11時をめどに行われる予定。

    追加:3月27日23時54分のアメリカのJSpOP(アメリカ国防総省戦略軍統合宇宙運用センター)の情報が気にかかる。悪い知らせであり、色々推測できそうな内容だが、JAXAの公式情報を待つ。
    (暫定訳>JSpOCはIDをもつ二つの物体について分離したであろうことを確認:SL-12ロケットブースタ(33472)01:45UST、21個。ひとみ(ASTRO-H 41337)08:20UST、5個。この現象は関連していない。)

    追加:2016年3月28日(月)11:00発表梗概
     「ひとみ」はまだ通信復旧できていない。それ以外は新情報なし。米国JSpOCの「5つに分離した」発表(上記引用参照)については、発表された分離確認時刻以降も短時間ではあるが「ひとみ」からの電波が受信できたので、因果関係を確認中。

    追加:3月28日夜の「ひとみ」可視パスにて撮影に成功した方がいた。


     ナショナルジオグラフィック(米国)オフィシャルブログでは、動画が公開されていた。写真以上に明滅が不規則な様子がわかるので、以下のリンクからぜひ見ることをお勧めする。
    Video Shows Troubled Japanese Spacecraft Tumbling in Orbit(National Geographic)
    タイトル直訳:軌道上でタンブリング問題を抱えた日本の宇宙機のビデオ

     ということで、光度変化が見られることから、「ひとみ」はスピン(回転)していると考えられる。
     スピンしていると考えられる理由は以下の通り。
    1.正常ならば同じ明るさの一本線で写るはず
    2.しかし写真だと明滅している
    3.明滅するということは、衛星が光を反射する能力に変化があるということ
    4.光の反射強度は面積によって変わる
    5.地上から衛星を見て面積の変化があるということは、スピンしていると考えられる
    6.なぜならば、「ひとみ」は以下の画像のような形をしており、どの方向から見るかによって形が変わる、すなわち見た目の面積が変化するからである
    1c26fa2e48f1b0b517c872361c979f8c.jpg
     常に機体がスピンする姿勢は、通常の「ひとみ」運用では取らせない姿勢だ。外的にせよ内的にせよ、何らかのモーメントが加わった事象が考えられるが、原因はやはり明らかになっていない。
     また、上記写真では先だって報じられた「5つの物体が分離した」事象について、分離した物体は映り込んでいない。ただしこれは映り込んでいないことをもって破片が小さいとは直ちに言えない。時間が経つと「ひとみ」本体から離れていってしまうためだ。ただ、本体がはっきりと映り込んでいる以上、レーダーに反応するくらいには大きい(5cm角)が、空中分解と言うには小さいものだったと推測している。
     また、分離を報じたJSpOCからは続報が出た。
     (暫定訳:ASTRO-Hのブレークアップ(分離)は01:42USTプラスマイナス11分に発生)

     3月29日19時にJAXAから報道向け発表が出た。内容は以下の通りであるが、電池は尽きていなかった模様。
    http://fanfun.jaxa.jp/topics/detail/7243.html
     28日(月)22時頃に内之浦で、29日(火)0時半頃にサンチャゴで電波を受信したものの、いずれも極めて短い時間の受信で、衛星の状態は確認できなかった。日本宇宙フォーラムの美星スペースガードセンター(岡山県井原市)の望遠鏡で「ひとみ」を観測し近傍に2つの物体を確認済み。同じく上齋原スペースガードセンター(KSGC)のレーダでは美星で確認した物体のうち1つを確認している。なお、サンチャゴで受信できた電波は、KSGCで観測した物体の軌道方向からのものであることを確認した。
     JAXAとしては、JSpOCが公表している情報および今回の通信異常との関係について引き続き確認中。

     米軍筋よりの「タンブリングはデブリ衝突が原因ではない」という見解が、あちらのwebニュースサイトに載りました。
    U.S. Air Force: No evidence malfunctioning Japanese satellite was hit by debri(SPACE NEWS)
    (タイトル訳>米空軍:日本の人工衛星の異常な挙動はデブリ衝突だという形跡がない)
    U.S. military rules out collision as cause of Hitomi satellite’s woes (SPACEFLIGHT NOW)
    (タイトル訳>米軍は「ひとみ」衛星の災難の原因として衝突を除外した)

     4月15日の定例記者説明会で、姿勢異常からパーツ分離に至るまでの予測シナリオが発表された。
     予測であって、確認された事象ではない。
    以下の説明は
    X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)の状況について(4月15日更新)
    にある記者説明会資料のPDFに基づいて筆者が書いたものだ。

     3月26日、活動銀河核観測のため、姿勢変更。
     姿勢変更終了後、姿勢制御系の異常な動作によって、「ひとみ」は実際には静止しているはずの機体が回転していると誤判断した。
     誤判断に基づき「ひとみ」は、機体を静止させようとリアクションホイール(RW)を回した。
     実際には静止していた機体は、ここでRWを動作させたことによって、回転を始めた。

     誤った姿勢情報に基づきRWを回した。当然、これによって姿勢が正しくなる(静止する)はずはなく、RWはやがて制御可能な上限に達する。
     RWには性能の限界値がある。この数値に近くなった場合、別の手段を用いて姿勢制御をし、ホイールの回転数を正常値に保つ機能が組み込まれている。別の手段とは、磁気トルカと姿勢制御用スラスタの噴射である。
     このうち、磁気トルカは姿勢異常のために正常に働かなかったと考えられる。

     やがてRWは上限値を超える。こうなったとき、「ひとみ」はRWに異常が発生したと自律判断し、緊急モードに入るようになっている。名前はスラスタセーフホールドモード(RCS SH)という。これは、姿勢制御用スラスタの噴射によって太陽指向するモードだ。
     この時もRCS SHに入ったと推定できるが、この時に使ったスラスタの制御に関わる数値(制御パラメータ)は間違ったものであった。それによって誤った噴射を行い、かえって衛星の回転を加速させてしまった。
     そして、回転によって生じた力で、構造的に回転に弱い部分が分離した。分離した部分としては、太陽電池パネルの一部や伸展式光学ベンチ(EOB)が想定されている。

     では、なぜこれが起こったのか。
     「ひとみ」の姿勢検知は、二つのセンサによって行われている。
     ひとつはスタートラッカ(STT)。これは、星の位置を検出して現在向いている方向を決めるものだ。位置の変わらない星を指標に使うので正確。けれど星の見えない状況では使えない。具体的には地球を向いている場合などが想定できる。
     もうひとつは慣性基準装置(IRU)。これは、実際に衛星にかかった加速度と方向計測し、「この方向にこのくらいの力が加わったから、今こっちを向いているはずだ」と計算する機械だ。計算結果には僅かに誤差があり、時間によって誤差は蓄積していく。けれどSTTが使えない状況では役に立つ。
     IRUの誤差は、STTが再び星を捉えられるようになったときに、STTの値に基づき補正する。ただし、両者の示す姿勢の誤差が1度を超えた場合は、IRUが優先されることになっている。

     通常はこの二つを組み合わせて姿勢検知を行う。だが、今回はなぜかSTTの数値を取り込まない状態になってしまい、IRUの持っていた誤差のある数字のみで制御を行ったと考えられる。具体的にはZ軸周りに21.7度ズレていた。21.7度のズレを補正しようと「ひとみ」は姿勢制御を試みたのだが、実際にはズレていないことから回転を始めてしまったのであった。

     問題点は2つ。
    一つ目、STTが補正に使えなくなっていた。
    二つ目、RCS SH時の制御パラメータに間違った数字が入っていた

     この二つによって「ひとみ」は姿勢回復が出来ず、回転したままになった。
     速い回転だったので機体が耐えきれず、一部が分離。しかし通信系は生きており、分離後も電波を捉えることが出来た。
     現在はなおも衛星が回転していることから太陽電池に充分な光が当たらず、バッテリが枯渇していると考えられる。

     2016年4月28日、JAXAは「ひとみ」(ASTRO-H)の復旧の可能性はないと判断、運用継続を断念した。
     久々に開いた日本のX線天文学のひとみは、早々に閉じられることとなった。残念である。
     断念に至った理由は以下の通り説明された。

    ・太陽電池パドルが両翼とも根元から分離した可能性が高いこと
    ・3/26、27、28に各1回ずつ受信した電波は周波数が違い、「ひとみ」のものではなかったと判断される
    ・よって現在は全電力を失い、復旧の見込みはないと考えられる

     さすがに太陽電池パドルがなくなってしまってはどうしようもない。バッテリーが枯渇しても充電できないし。
     詳しくはリリースを。
    X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)の状況について(4月28日更新)

     驚いたのは、記者会見にて、常田宇宙研所長/JAXA理事が、宇宙研の組織改革が必要と聞けるメッセージを発したことだ。
     さあ、日本の宇宙科学はどうなるのだろうか。これからが正念場だ。

     まことに残念ながら、日本のX線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)は、人為ミスからの姿勢異常発生を経て太陽電池パドル完全破断となり、一番重要な電源を失って二度と復活できなくなった。
     この事象を徹底的に解析し、次に活かしていくことを望むものだ。
     対象がいなくなってしまったので、本記事はここでクローズする。

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    北朝鮮、衛星打ち上げを通告
     しばらく前から北朝鮮周りがざわついていましたが、このたび人工衛星打ち上げが国際機関に通告されたとのことです。
     今のところ国際海事機関(IMO)と国際電気通信連合(ITU)への通告の情報しか出ていませんが、2012年の状況を考えると国際民間航空機関(ICAO)への通告も行われているか、あるいは近いうちに行われると考えてよいでしょう。
     打ち上げ予定期間は2016年2月8日~25日の間となっています。H-IIA F30が2月12日予定ですから影響があるのかどうか注視が必要です。

     さて、そんな北朝鮮の衛星打ち上げですが、残念ながら今回も国際承認を取れていません。
    北朝鮮、人工衛星打ち上げに成功(2012年12月12日)
     以前上記の記事で指摘した点については、この3年で解決していません。まず、北朝鮮の打上げを事実上国際的に制約している国連安保理決議1718号http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/n_korea/anpo1718.htmlは撤回されていません。核拡散防止条約からの脱退と核兵器の保有を問題視しているのであって、これが解決されない限り同決議の撤回はありません。
     よって、北の打上げが国際承認を得られる機会はほぼないと思ってよいでしょう。
     加えて、ロケット打ち上げ国が加入すべき条約と協定、
    宇宙物体により引き起こされる損害についての国際的責任に関する条約(宇宙損害責任条約)
    宇宙飛行士の救助及び送還並びに宇宙空間に打ち上げられた物体の返還に関する協定(宇宙救助返還協定)
    にも未加入です。これは打ち上げたロケットや衛星が他国に損害を与えた場合や他国に落下した場合の補償などについて定めたものであり、宇宙開発における基本国際法となっています。
     そんな中、IMO・ITU・(ICAO)への通告を行ったということは、現在北朝鮮ができることはやったということになります。ここは評価すべき点と考えています。

     事実として北朝鮮は衛星打ち上げ能力を保有しているのであって、それ自体は道具の使い方ですから是非を問うべきことではありません。願わくば北朝鮮が堂々と打上げができる日が訪れんことを祈っています。

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    目指せH-IIA F30/ASTRO-H
    1年3ヶ月ぶりの打上げ見学を目指します。なんとかなると嬉しいな。
    宇宙科学衛星としては、SELENE(かぐや)、PLANET-C(あかつき)、HAYABUSA2(はやぶさ2)に続くH-IIAでの打上げ。島が呼んでいます。
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    「あかつき」ふたたび金星へ
     さあ、待ち焦がれた日がやってきます。金星探査機「あかつき」が、金星再投入に挑みます。5年越しの想いはきっと約束の星に届くと信じています。
     かつて書いた「今の私に思いつくのは、「あかつき」の打ち上げを見に行って同人誌にまとめ(そもそも打ち上げを見るのが好き、というところから宇宙趣味に入りました)、その後の情報を追いかけ、このブログで適宜流していくことです。」という約束を実現させるときは今です。

     かつて、初音ミクを金星にと言うプロジェクトがありました。
    匿名100名募集! ミク絵を金星探査機に貼りませんか? (SOMESAT)
    金星ミク特設署名ページ
     あなたのミクと想いを託した衛星が、うまくいけば明日の朝、金星に到着します。泣いても笑っても、コレが最後のチャンスです。

     2010年5月21日早朝、私は鹿児島県熊毛郡南種子町平山地先――種子島の南の海に面した道の脇に立って、カメラを構えていました。もちろん、H-IIA F17/あかつきの打上げを撮影するため。
     明け方の空に昇っていったロケットは、なかなかうまく撮影することができました。
    IMG_7726-2.jpg   IMG_7798-5.jpg
     その後さしたる情報もなく(つまり順調と言うことだった)、2010年12月7日の金星軌道投入(VOI-1)を迎えます。
     OME(軌道制御メインエンジン)の最長噴射でブレーキを掛け、金星周回軌道に入るはずだった――のですが、予定時間が過ぎても「あかつき」の電波が補足できませんでした。
     結果として、OMEの全損(ノズルが付け根からもげてしまった)という事故によって、軌道投入は失敗。即座に救援のための新軌道計画が策定され、6年後(後に再計算の結果5年と再設定)に再投入ということに決まったのでありました。
     この、通信途絶から復旧数日後までは、かつてこのブログで記事にしていたので、以下を参照して下さい。
    「あかつき」通信回復以降の流れ(随時追記)

     前回の投入失敗は12月7日。今回の再投入もまた、12月7日。
     ぴったり5年の月日を経て、「あかつき」はふたたび金星に戻ってきました。時間も前回とほぼ変わりません。
     この5年、「あかつき」スタッフは、自らが忘れ去られないよう、月例の「あかつき」トークライブ(相模原市立博物館)など広報にも取り組んできました。
     前回の軌道投入は、VOI-1と呼ばれていました。今回はVOI-R1です。"R"はRe~、Revengeなどを意識して付けたとのことです。再び軌道は巡ってきたのです。そしてこれは、砕けた足を引きずり、設計時の想定以上に太陽にあぶられてぼろぼろになってしまった「あかつき」にとって、恐らく最後の軌道投入のチャンスになります。
     さあ、行け! 「あかつき」よ水平線に勝利を刻め!  終着駅を目指せ!

     今回も応援用の方向幕を作ってみました。twitterヘッダに合わせたサイズですので、そのままお使いいただけます。
    twitterヘッダ_あかつき幕


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    はやぶさ2、いよいよ地球スイングバイ
     忘れもしない2010年6月13日、「はやぶさ」は地球帰還に成功し、カプセルを遺して光と消えた。
     その前から、後継機の計画が行われていた。はやぶさ2、はやぶさmk2……いくつかのタイプの中から選ばれたのは、初代「はやぶさ」の改良型であった。外見上の最大の違いは、お椀型のパラボラアンテナ一基から、平面アンテナ二基に変わったことだろう。だが、内部を見てみると、初代の遭遇した様々なトラブルから学び、ロバスト性(対故障性)が追求されている。
     最大のトラブルの原因となった姿勢系では、化学推進系統(RCS)の徹底的な見直し、フライホイールの増備が行われた。
     RCSは、二系統の配管が空間的にも近接しないようにし、同時に凍結することのないように考えられている。また、バルブの見直しも行われ、タンクも新規開発のものになっている。
     フライホイールは、三次元軸に対応するXYZ三軸に加え、複数の軸に干渉できるように斜めに予備を配置するのが普通だが、「はやぶさ2」ではZ軸のみ二重化された。これは、初代が帰路にZ軸ホイール+太陽光圧のみで姿勢を制御した実績があるので、とにかくZ軸さえ生き残っていればどうにかできるという実績と自信の表れだ。

     はやぶさ2が飛び立つまでは、主にお金の面で多くの困難を乗り越えた。ロケットはないから海外調達してこいだの、予算減額だの、特別枠の予算で復活だの……。そうした地上でのトラブルで厄落としができたのだろうか、2014年12月3日の打上げから1年、トラブルはなく順調に宇宙を渡っている。

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    左:宇宙研からの出荷  右:打ち上げ前日にかかった虹

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    左:打ち上げを待つH-IIA F26  右:待ちに待った発射!

     そんな「はやぶさ2」が、12月3日に地球スイングバイを迎える。小惑星リュウグウへの往路の一番のイベントだ。
     地球の重力と公転運動を使って、姿勢の変更と速度の変化を同時に行うスイングバイは、燃料を使わずにできる軌道変更であり、この手の探査機ではしばしば行われている。
     はやぶさ2は小さな機体であり、必要な制御をすべて化学燃料で行うことはできない。そんなことをしたら、燃料だけで重量オーバーしてしまう。
     そこで、スイングバイとイオンエンジンの二つを使い分けることにしたのである。スイングバイは燃料がいらないのはもう述べたので、次はイオンエンジンだ。
     このエンジンは、瞬間的な推力はすごく小さいのだが、速い速度で長時間(14,000時間ほど!)推力を得ることができる。化学推進とは桁違いに、燃費がものすごくいいのだ。これによって搭載燃料を減らすことができる。
     探査機は、探査が本来の任務。センサなど、探査に使うものを少しでも多く、燃料など探査に必要ないものは少しでも少なくしたい。
     それにはうってつけの構成なのである。

     さて、明日のスイングバイ、地球最接近時刻は日本時間で午後7時7分ごろ。地上から高度約3100kmの太平洋上を通過していく。
     残念ながら暗いので、肉眼で見ることはできないだろう。これによって秒速30.3kmから31.9kmまで増速し、一路小惑星リュウグウを目指すことになる。無事に行われることを疑っていない。スタッフの皆様は、どうぞお疲れの出ませんよう。


     太陽系特急下り「はやぶさ2」にご乗車いただきましてありがとうございます。この列車は、地球信号所経由、小惑星リュウグウ、小惑星リュウグウ行きです。まもなく地球信号所、地球信号所を通過します。
    CVJkNOKUEAE1eBU.jpg
     方向幕はtwitterのヘッダに合うように作っています。ご自由にお使い下さい。一緒に応援しましょう!
     ……「はやぶさ2」の次は「あかつき」の金星再投入です。今月はイベントが目白押し!
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    写真および情報提供のお願い(JAXA施設、感想、間違い指摘、その他)
     液酸/液水では、8/14のC88に向け、新刊『宇宙へ! 宇宙開発見学総合ガイドブック』の第3版を準備中です。
     5年ぶりの全面改定になるのですが、その間の変化について不足している情報があります。
     本来なら作者が取材に行かねばならないのですが、私の財布はそれを許しません……。

     そこで、読者の皆様で、以下の写真や情報をお持ちの方がおられましたら、ご協力をお願いいたしたく思います。
     条件としましては、できあがった本を差し上げるほか、情報提供として巻末にクレジットさせていただきます。(当然写真にもクレジットは入れます)
     趣味でやっている個人サークルの自費出版ゆえ、金銭的な対価はお支払いすることができませんが、それでもよいよ、という方、どうぞ、どうぞよろしくお願いいたします。
     もちろん、前の版の間違いや、こうした方が良いというご提案も大歓迎です。

    1.施設見学関連
    ・JAXA大樹航空宇宙実験場の写真(平常時、実験時問わず、どんなものでも。この施設の写真は全く手持ちがありません)
    ・臼田宇宙空間観測所、携帯電話の電波状況(2014年以降の情報を希望。訪問時期を併せて教えて下さい。どのキャリアでも歓迎)
    ・種子島宇宙センター、VAB内部の写真(昔は撮れたんですが……)
    ・筑波宇宙センター、宇宙飛行士訓練施設内の写真
    ・東京大学駒場キャンパスにあるというペンシル記念碑(模型?)写真
    ・千葉大学西千葉キャンパス近辺にあるらしい宇宙開発発祥の地の記念碑写真

    2.打ち上げ見学関連
    ・種子島・内之浦の各見学場所での携帯電話・モバイル通信端末の電波状況(通じた・通じないでも結構です。時期と併せて教えて下さい)
    ・種子島、恵美之江展望公園から撮影した打上げ前のロケット
    ・種子島、恵美之湯湯泉旅館から撮影した打上げ前のロケット(2014年、旅館再建後の写真でお願いします)
    ・内之浦、宮原以外の各見学所からのロケット打ち上げ写真(どの位置に見えるか知りたいのです)

     ご連絡はコメント欄、twitter:@kin_mokusei、右上、自己紹介欄のメールアドレスからお願いします。
     皆様のご協力なくしては完全な本を作ることができません。なにとぞよろしくお願いいたします。

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