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    ALOS「だいち」にかけた想い
     『ロケット紀行』総集編の作業中、懐かしい文章を発見しました。
     2006年、陸域観測衛星「だいち」の名付け親になったときに『ロケット紀行 vol.2』に載せたもの。
     読み返すと、古くなってしまった部分もありますし、少々気恥ずかしさもおぼえます。けれど、自分の根っこにある、今でも変わらぬ思いがあるのであえて載せてみます。

     「ALOS「だいち」にかけた想い ──衛星の名付け親となって──」
    (初出:『ロケット紀行vol.2』 2006年8月12日発行)

     2006年1月24日10時33分、陸域観測衛星ALOS「だいち」を載せたH-IIA 8号機が打ち上げられた。ロケットは正常に飛翔し、計画値より5秒ほど遅れて衛星を分離、その後の追跡の結果、予定通りの軌道に投入できたことが確認された。
     普通は、衛星が軌道に乗ったのを確認してから愛称を発表するのだが、この衛星は一般公募によって、打ち上げ前にもう愛称が決まっていた。
     私も、軽い気持ちでこの公募に応じた一人だった。それだけに、四百余名の方とともに自分が提案した名前が採用されたと知らされたときには、震えが来た。
     それと同時に、我が子のような愛着も覚えた。
     なぜなのだろうか?

       * * *

     ロケット好きや宇宙開発ファンでなくとも、宇宙へ行きたいと思ったことのある人は多いはずだ。しかし、現実に立ち返ってみると、それが厳しいことを思い知らされる。
     直接宇宙に行こうと思ったら、今のところは、数百億、場合によっては1000億円単位のお金を払うか、厳しい試験と訓練を経て宇宙飛行士になるかしかない。
     自分が行くのが無理なら、せめて──。そう考え、モノを送る人もいる。
     記念品、身の回りの品、何でもいい、形代になるものに宇宙へ行ってもらうのだ。
     2005年のSTS-114にて、野口宇宙飛行士がペンシルロケットや東大校旗を持っていったことと、アメリカの冥王星探査機「New Horizons」に、冥王星の発見者W.トンボーの遺灰が積まれていたことは記憶に新しいところだ。ちょっと毛色の違うところでは、アメリカには、故人の遺灰を衛星に積んで低軌道~中軌道に打ち上げる、宇宙葬ビジネスもあるらしい。
     しかし、これもなかなか難しい。まず、回収・非回収を問わず、現状では打ち上げそのものの機会が限られている。仮に運良く打ち上げの機会を捕まえたとしよう。けれども、持っていってもらう場合は、持ち込み重量の厳重な制限がある上に、飛行士との特別な関係が必要だ。持っていってもらわないとすると、記念品を回収するかしないかが大きな分かれ目だ。回収する場合は、打ち上げ人員に加えて回収人員も必要になる。打ち上げ費用に加え、この分の負担も必要だろう。回収しない場合は、当然そのまま宇宙にとどまるわけだが、スペースデブリ対策が国際問題となっている以上、不要不急である記念品打ち上げなど歓迎されないだろう。
     こう考えてくると、個人の記念品を送ることは、人が宇宙に行くより可能性は高いが、まだまだ現実的ではない。しかし、本人に代わるモノ、すなわち形代を送るというアイデアは大いに魅力がある。
     記念品を回収せず、なおかつデブリとならない方法で宇宙に送る方法はないのか。この路線で調べていくと、今の状況で実現の可能性が高い方法が二つあることが分かる。
     ひとつは、どこかの宇宙開発機関のキャンペーンに乗る方法。多くはプレートに名前やメッセージを刻んで、人工衛星や探査機に搭載することになる。
     例としては、日本惑星協会とISAS(現・宇宙研究開発機構)が「はやぶさ」ミッションに付随して行った「星の王子様に会いに行きませんか」キャンペーンがある。このときは88万人の名前をターゲットマーカに刻み、小惑星イトカワに届けた。前述の「New Horizons」でも似たキャンペーンが展開され、こちらは衛星本体に賛同者の名前を刻んだ金属プレートが取り付けられている。
     もうひとつが衛星の名付け親になることだ。今回の私はこれに該当する。
     この場合、自分が名付けた探査機が、軌道寿命の尽きるまで宇宙空間を飛び続けることになる。
     軌道寿命は、地球周回軌道ならば高度によって数年から数十年、惑星間探査機ならば、結果として太陽周回軌道に乗ることになった火星探査機「のぞみ」のように、1億年といったスケールになる。
     他に例を挙げるなら、日本初の衛星「おおすみ」は、打ち上げ後33年間にわたって飛び続け、2003年、大気圏に再突入して消滅した。太陽系外に飛び出した「パイオニア」や「ボイジャー」などの探査機は、いつまで飛び続けるか誰も分からない。
     宇宙に送った当人たちの生涯すら超えて飛び続ける可能性。なんとも魅力的な「記念品」ではないか。

       * * *

     私は、できることなら自分で宇宙に行ってみたいと思っている。しかし、現実にそれが厳しいと判ったとき、その夢は一時お預けにすることにした。そのかわり、手の届く費用で宇宙旅行が始まったときは、できる限りのことをして、初飛行の椅子を手に入れたいと思う。
     いつ行けるか分からない私に代わって宇宙に行ってくれたのが、「だいち」なのだ。少なくとも私はそう考えている。だから、打ち上げ以来の活躍ぶりはとても嬉しい。このまま順調に稼働し続けて欲しいと願っている。
     そして、軌道寿命が尽きる前に宇宙に行けたら、ぜひ軌道上の我が子と会って「お疲れさん」と声をかけてやりたいものだ。
     ALOS「だいち」は、名付け親たちの思いも載せて、今この瞬間も軌道を回っているのだ。

    別窓 | 宇宙開発 | コメント:3 | トラックバック:0 |
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    この記事のコメント
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    だいちは、みどりのシリーズが短命であり残念であったのと違い、後期運用には入ってもがんばっていますね。
    2010-05-30 Sun 03:49 | URL | しゅんしゃけ #-[ 内容変更]
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    >>しゅんしゃけさん
    コメントありがとうございます。
    事故無く任務を果たせるように祈っています。
    2010-06-02 Wed 01:25 | URL | 金木犀@管理人 #NrBA8kAs[ 内容変更]
    []
    読んでいてとても面白い記事でした。

    いつの日か宇宙に気軽にいける日が来て欲しいです

    できれば私もその船の席に座りたいです^^
    2011-05-27 Fri 12:36 | URL | k #-[ 内容変更]
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