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    「おおすみ」40周年記念シンポジウムに行ってきた(その4)
     お待たせしました、質疑応答のお時間です。今回で完結です。
     では早速いってみましょう。メモを取り切れていないので、文に粗密がありますがお許し下さい。
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     登壇者は、森田泰弘、的川泰宣、秋葉鐐二郎、小野田淳次郎の各先生。司会は阪本成一先生です。

    質問
     1.有人やらないのか。2.液体燃料の件。3.コンパクト化。

    答え
     まずは2.液体ロケットから

    森田先生:H-IIAやH-IIBが運用されているが、次のステップをどうするかというのは、JAXAでも検討している。固体に比べると斬新なことがやりにくくなっている。ひとつは民間移管され、三菱重工の商業用ロケットになっていること。新しいことをやるのがいいのかいまのまま手堅くコストを下げていくか意見が分かれている。搭載電機部品について、新しいことをやっていかねばならないが、H-IIAをやっているひとたちは余り新しいこと、信頼性を損ねるようなことをやりたがらない。我々は新しいことをやらなければ未来はないと言っているが、JAXAはH-IIAも固体も同じ電機製品なんだから一緒にやりなさいと言っている。やりたい人とやりたくない人が一緒にいるので、ちぐはぐなことになっている。全体としてはやりたくないというニュアンスが強いようだ。今後エンジンを改良して使いやすくしていこうという動きはあるが、固体に比べてロケット全体を変えようという動きは弱いようだ。

    小野田先生:再使用ロケットのの流れの中で、液体で軌道までという話がある。それは難しいが、観測ロケットを再使用型に、液体エンジンでするという研究が始まっている。計画はしっかり立てて、ぜひ早くやりたいと。

     次に1.有人の話。

    的川先生:有人飛行を視野に入れた、「月探査に関する懇談会」というのがある。宇宙基本計画の専門調査会というのに基づいて作られた。今まで4~5回開催された中で、私の意見を度外視して客観的に進んでいることを言うと、今まではずっと、月の探査を無人で、二足歩行ロボットをどのように使ってやるかと言う話になっている。前回初めて有人をどう考えるかと言う議論が出た。宇宙開発戦略本部の考えでは、もう1回か2回有人の話をして終って、有人を視野に入れた月探査懇談会のまとめというのを事務局が作ろうとしている。
     二足歩行ロボットの意見が専門調査会で出たときに、パブコメが求められた。たくさんのコメントが集まって、二足歩行はこてんぱんにやられた。だが、懇談会には十分に反映されなかった。懇談会の中に熱烈に支持している方が何人かいる。報告ばかりで議論は進まなかった。だから(有人の)議論というのはあんまりされていない。そのまま議論が収束したので、ほっとくと、二足歩行というのは下火になって、人型という表現になっているが、高度なロボットを使った月探査という表現が表に出ている。探査をやるとき無人なら、そこで使われるロボットは全部高度なロボットだが、ロボットという言葉をわざわざ使いたくて、そんな話になっている。2015年をメドにしてに月に軟着陸、月面探査の基礎をロボットを使って作っていくという結論になっているようだ。
     個人的な考えでは、有人と月をむりやり結びつけるのはおかしいと最初から意見していたが、取り入れられず、月を視野に有人を考えざるを得ないということになった。この前の懇談会では、有人を目標に掲げて日本はやっていかねばならないという議論が出た。反対意見はないが、慎重論な人が二人くらい。ほとんどの人は有人をやるべきだといっているが、具体化されず、目標に掲げようという話だけ。日本はいま有人の技術の蓄積がどれだけあって、今後どれだけ積み上げて有人に近づいていこうか、という議論になる。有人は、JAXAの報告書などで言葉としてたびたび登場するが、具体的な計画として議論されたことはほとんどなかった。全体として反対が無くて、というのは初めてだった。このままいけばなんでやるんだと言う話になって、日本としては有人を目指してやっていこうというのはおかしくない、という言質が取られたというのが私の見方。JAXAの中では、H-IIBやHTVを元にして有人機を作るという話は出ているようだ。そんな状態。
     余談だが、私は2001年に宇宙旅行ができると思っていた。そうはなっていないが。有人飛行というのは、議論で結論が出るモノではないと思う。大きな決断が必要。

    3.についての答えは無し。

    質問
     L(ラムダ)を上げたとき、観測ロケットをベースにしたから苦労したという話だったが、Lを上げずにM(ミュー)をやったら、成功したか?

    答え
    秋葉先生:歴史に「たられば」はない。Lロケットで何回も失敗したことは財産。あれだけの期間で大きな進歩があったのはLのおかげ。Mは並行して進んでいた。その成果を取り込んでMが上がった。MがうまくいったのはLがあったから。いきなりMをやったら、ものすごい無駄遣いだと言われただろう(笑)

    質問
     熱可塑型燃料を観測ロケットに適用するとコストが安くなり、やりたいところが増えるのでは?

    答え
    森田先生:観測ロケットの燃料が高いので、低コスト化の話がある。例えばの話、観測ロケットに適用して実証した上で、大きなロケットに適用するというステップを考えている。520や310に最初に適用したいなと思っている。

    質問
     空中発射ロケットについて

    答え
    森田先生:ニーズはある。打上げウインドウの制限が無くなる。一段目が軽くなる。また、打上げ方向の制限が無くなる(現在極軌道打上げは一度南西に打ってから南に軌道を曲げているので、能力半減)。ロケットのポテンシャルは倍以上になる。それが魅力的なミッションも当然出てくるだろう。

    的川先生:違う視点から見ると、経産省が予算を付けて研究は始まっており、S-520のように制御可能なロケットはある。ロケットの方はなんとかなるだろう。問題は飛行機。日本にはそこまで成熟した航空技術はないので、海外との協力を考えなければならない。今一番やっているのはアメリカ空軍。これから先、空中発射で小さなペイロードを打ち上げて宇宙で組み立てていくというミッションは伸びていく可能性があるだろう。そういう開発をしないと宇宙開発が先細りになるのではないか。アメリカでは、NASAが無い技術というのは軍がきっちり開発してくる。二枚腰をやっている限りどこの国も追いつけない。日本では簡便に持ち運べて小さなもので能率よくやるというのを精力的にやるべき。その意味で、空中発射は大事な選択肢。

    秋葉先生:空中発射は10数年の実績がある。いろんな制約がクリアできるのがいい。小さいロケットで良いというのではなくて、もっとおおきなモノが運べる飛行機がほしい。100t/衛星2tくらい。飛行機はロケットブースタという考えだ。アメリカはスペースシップワンなど、威勢のいい人たちが民間にいる。民間が主役。そんな時代に入ってきているのでは。

    小野田先生。(空中発射は)再使用型の輸送手段への1ステップとも見られる。小さなペイロードの需要はこれから大きくなるだろう。JAXAが大きなお金をかけてやれるかというと、そうではない。日本は、みんな宇宙が好きなのに、地に足がついてしまっている人が多い。柔軟なところからそういう活動を初めていただければいいなと思う。

    質問
     東海大のハイブリッドロケットチームの方。今までの固体は、宇宙研の衛星を打ち上げるために作られたものだが、国が作った人工衛星以外の国産小型衛星を宇宙に届けるような手段はできないものか。ピギーバック以外の手段で超小型衛星を宇宙に送れないか。ビジョンを聞かせて欲しい。
    (筆者ツッコミ:ピギーバック以外で、というのをあえてJAXAに聞くのか? 今学生なら、そういう手段を自分で作った方がいいのでは?)

    答え(メモが間に合わず、断片的になっています。ご承知下さい)
    森田先生:観測用ロケットSS-520を2段式にすると、軌道に乗せられたりする。コスト的に実現できていない。ただ、そういう何らかの仕組み、システムは規格化したいと考えている。

    小野田先生:低コスト化。再使用型ロケット。ぜひJAXAをご利用いただければ。

    阪本先生:これからは機会が増える。今年度は小型人工惑星が飛ぶ。小型衛星でなにをするか、をJAXAにアピールして欲しい。

    小野田先生:JAXAに関わらずやりたいということでしょ? なら、そういう世の中にしなきゃ。モデルロケットが近いことやってるけど、まだ制約が多くて、やりたい連中はアメリカに行ってやってる。
    (参考:武蔵野ロケットクラブ(アメリカでモデルロケット打ち上げてのは、この中のぺイロードプロジェクトチームです)http://www.oshiba.com/mrc/mppu2009.html なお、武蔵野ロケットクラブ(MRC)は、昨年はSOMESATプロジェクトに協力していました。以下のロケットの機体側を作ったのはMRCです。)



    的川先生:宇宙の仕事をやろうと思うとJAXAの枠内でしかできない。なので、定年になった途端に力がなくなってしまう。今の日本は、宇宙開発だけに限らず、アイデアややる気がある人たちを生かせない国家だ。だから、NPOなどで民間の力を強めていかねばならない。他を抜きにして、宇宙開発関連だけが幸せになることはできない。社会全体が幸せになるようにこれから日本を変えて行かないといけない。そんな意味でもKU-MAを宜しくお願いします。

    以上。

     これでレポートは最終回です。おつきあいありがとうございました。
     私の感想は近々まとめてアップします。

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    この記事のコメント
    「おおすみ40周年シンポ」で質問していた東海大の学生です。

    >ピギーバック以外で、というのをあえてJAXAに聞くのか?

    本当はもっと別のことが聞きたかったんですが、ああいう質問になってしまいました…。

    >そういう手段を自分で作った方がいいのでは?
    ごもっともです。実現できるように頑張ります。
    2010-02-13 Sat 00:24 | URL | 東海大のロケットの中の人 #OzykZlQA[ 内容変更]
    []
    >>東海大のロケットの中の人
    コメントありがとうございます。
    東海大学の取り組みは、さわりだけですが存じていますし、応援しております。
    なんだか偉そうなことを言っていてすみません。あくまで一宇宙ファンの感想、と言うことです。
    まあ、私も文系ながら大学院にいますので色々見えるのですが・・・。
    2010-02-13 Sat 01:07 | URL | 金木犀@管理人 #NrBA8kAs[ 内容変更]
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