文系宇宙工学研究所へようこそ!



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      ロケット打ち上げ見学の案内がメインのはず。種子島、内之浦のロケット&観光情報、最新の宇宙ニュースなどを紹介。
      打上げ見学記「ロケット紀行」シリーズ、打上げ見学と宇宙関係施設観光のためのガイドブック「宇宙へ!」などの同人誌を販売中。


     オススメ・お役立ち  
      ・種子島ロケット見学マップ(PDF版:2010年現在)はこちら(リンク先画面のダウンロードをクリック)
      ・ロケット見学案内記第6版(PDF版:2011年現在)はこちら(リンク先画面のダウンロードをクリック)

    イベント参加予定:東京とびもの学会2017 3月12日(日)於ハイライフプラザいたばし
             おもしろ同人誌バザール3 4月2日(日) 於JR大崎駅南改札前 大崎夢さん橋
             COMITIA120 5月6日(土) 於東京ビッグサイト

      自家通販            委託中(『ロケット紀行』他)通販あり
                 

    「おおすみ」40周年記念シンポジウムに行ってきた(その3)
     最後の登壇者は、森田泰弘教授。宇宙好きには言わずと知れた、次期固体ロケット「イプシロン」のプロジェクトマネージャを務める先生です。話しぶりは非常に穏やかで、聞き取りやすいのです。
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     演題は「日本のロケットの将来像」。写真多めです。

     次期固体ロケットは、M-V退役直後から開発に着手したのだが、制約があってなかなか進んでいない。最近になってようやく本格的に進み始めた。(注:予算が付いたから?)
     次期固体は「イプシロン」という名前だが、その由来は内之浦から初号機が無事に上がったら説明したい。(注:新型固体の射場についてはいろいろ意見があったようですが、どうやら内之浦のようです)
     的川先生も述べたことだが、日本のロケット開発史について軽くおさらい。(注:この部分はカットします)森田先生が宇宙研に憧れたきっかけは、ハレー探査ミッションだったのだとか。
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     M-Vは、世界で唯一の、惑星探査と太陽同期ミッションに活用可能な固体燃料ロケットである。他国より10年は進んでいる。

     この辺りからイプシロンの話に。(次期固体とイプシロンという単語が入り交じりますが、同じモノです。)

     イプシロンのLEO(低軌道打上げ能力)は、1.2t。(ちなみにM-Vは250kmへ1.8t、500kmへ1.1tなので、ロケットの能力的には概ね2/3)小型で低価格なロケットで小回りが利くように打上げ、チャンスを生かすようにしたい。
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     イプシロンの基本コンセプトは、機体性能の最適化、運用の効率化、地上設備のコンパクト化である。
     まず、機体性能について。
     第1段は既存のもの、H-IIAのSRB-Aを基本的に流用。ありものなので低コストでできる。第2段は、M-Vの第3段やキックモータをベースにして改良。低コスト化を図りさらにおつりが出るくらいいいものを開発したい。上段はサイズこそ小さいがロケット全体の性能に対する影響は大きく、安物は使えない。
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     ロケットのインテリジェント化について。自律点検システムを作りたい。例えば、自動車は、エンジンキーをまわすときにエアバッグなどの自律点検を行い、問題がなければエンジンがかかる仕組みだ。
     打上げ前の自律点検ができるようになれば、運用人数の削減や射場設備の簡素化などができ、低コスト化につながる。発射準備期間はM-Vで47日かかったが、次期固体だと6日になる予定。(頭胴部取り付け以降はM-Vで11日、次期固体で1日)運用経費はM-Vで10億、次期固体で1億の試算。
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     上段ステージ(ポスト・ブースト・ステージ)の話。2段目の上に小型の液体燃料エンジンを使う段を乗せ、軌道投入精度を上げる。
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     マルチ・ローンチの話。主衛星500kg級、ミニ衛星50kg級、マイクロ衛星5kg級の同時打ち上げシステム。5kg級マイクロ衛星はインターフェースを標準化して、ユーザーフレンドリーにしたい。
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     イプシロン性能諸元。3段式、LEO1.2t、打ち上げコスト30億円、開発コスト200億円。2013年度が初号機打ち上げの目標。3段目のモータの型番が"KM"だった。
     将来の話。イプシロン発展型や増強型など。更に、ロケットの製造設備の効率化も考えているとのこと。
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     新たな固体推進薬の開発もしている。従来は熱硬化型なので非可逆かつ途中で停止できず、大規模設備が必要だった。いま、低融点・熱可塑な推進薬を開発している。これだと扱いやすいし設備も小さく、稼働率も高くなる。小さな設備で製造して、バーとして保存し、使用時に溶かしてロケットに詰める。チョコレートを溶かして型に詰めて冷やすというイメージらしい。
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     更に、ロケットの電気配線をコンパクトにしたい。ワイヤレス化。スライドには「ワイヤレス着火マン」の字。ロケットの搭載電気機器も無線通信にして、配線をなくしたい。ボードレベルで試作はできている。無線の伝送規格はZigBee(家庭用の無線通信規格らしい。Wikipedia:ZigBee)と民生のものを使う。今年度(2011年度?)は実装化の研究と地上燃焼試験での実証をする。
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    まとめ。次世代ロケットは、射点設備(ロケット管制)・射場設備(アンテナ系)・製造設備・搭載系の簡素化を行う。
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     以下続く

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    この記事のコメント
    先生だ。
    2010-02-10 Wed 19:01 | URL | あざらし #-[ 内容変更]
    []
    >>あざらしさん
    また先生です。大御所ばかりでした。
    2010-02-10 Wed 22:18 | URL | 金木犀@管理人 #NrBA8kAs[ 内容変更]
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