雨が降っていた。
目が覚めると、雨が降っていた。
朝食を摂って、外に出てみた。小やみになっている。
最低限のものを持って、ツアーバスの待合せ場所へ。雨が強くなった。
鞄に詰めたものは以下の通り。
・カメラ(デジタル一眼、コンデジ)
・三脚(1脚だけ)
・財布、タオルなどの日用品
青空の下、本格的に撮れる状況を考えて、撮影機材はいろいろ持ってきたのだが、この天気だと素早く撤収できた方がいいと考え、メインのデジ一とサブのコンデジに絞り込むことにした。
不慣れな運転手さんが宇宙センターに迷い込んだりもしたが、なんとか観測地の門倉岬へ到着。時刻は9時。あいかわらず強まったり弱まったりする雨で、あちこちで傘の花が咲いている。

確保していたプライベート観測スペースにて、機材を展開。最後の望みを掛けて空を仰ぐ。

10時頃、雲の切れ間から太陽が覗いたのを最後に、皆既の時刻が近づく。5分ほど前から、ぐっと暗さが増す。鳥や虫の声が徐々に小さくなっていく。気温が下がる。
雨が止んだ。晴れ間は見えない。
10時57分47秒、皆既突入。世界が闇になる。・・・と思いきや、北限界線に近いので完全に真っ暗にはならない。しかし、カメラの目は完全に闇に閉ざされた。岬から北側の空、つまり皆既でない場所の空を望むとやけに明るく輝いて見えた。

皆既日食中の図

上の写真のコントラストをいじったもの。下の写真と比べてみると、木の輪郭がかすかに見て取れる。

第一接触前に同じ構図で撮ったもの。

連続撮影。3分間隔、全26枚の写真をgifアニメにした。
10時59分43秒、皆既終了。世界に光が戻った。そして雨も。
太陽こそほとんど見られなかったが、これはすごい経験だ。一斉に鳥や虫の声が戻ってきたとき、ものすごくほっとした。徐々に暗くなっていくのかと思いきや、一気に暗くなって一気に戻った。どこかで読んだ「99%の部分日食と皆既日食は全然違う」というのは、このことだったのか。
そろそろ堪えきれなくなってきたので、第四接触を待たずに機材を撤収して、バスの中に避難。
おやつに買っておいたコアラのマーチを開ける。一発目に出てきたのは・・・

空気読みすぎだ。とどめを刺された気分で、さすがにヘコむ。
午後1時半、宿に戻る。