2006-09-19 Tue 21:49
大学院入試が終わりました。
今日は面接だったのですが、専門的なつっこみにも何とか答えられたので、手応えアリ、といったところ。 発表は21日なので、明日はきっとそわそわしてると思います。 この夏はいつもより多くの漢文を読む機会がありましたが、その中の一つで「宇宙」という言葉に出会いました。 テキストの名前は「千字文」。その名の通り、重複しない千個の字で作られた漢詩です。中国をはじめ、漢字文化圏の国々では、日本の「いろは歌」と同じように、子供が文字を学ぶ際の教材として使われていました。(もちろん日本でも) その詩は、 天地玄黄 宇宙洪荒 (てんちげんこう うちゅうこうこう) 日月盈昃 辰宿列張 (じつげつえいしょく しんしゅくれっちょう) で始まっています。 意味は、天は黒く地は黄色く、宇宙は大きく広い。月日は満ちて傾き、星座は列をなして天球に張りつけられている。といったところです。 まずはこの大地について述べ、次に宇宙、太陽と月、夜空の星、と続きます。これが古代中国の世界観なのでしょうか。 ところでこの「宇宙」という言葉、我々日本人のイメージとはちょっと異なるみたいです。 どうやら古代中国では、「地上から天空、時間の古今までをひっくるめた世界全て」を意味したらしいです。かなり広い範囲を指す言葉だったんですね。 漢字ごとにバラして考えると、「宇」は大きな屋根で覆われた家、という意味で、そこから転じて大空に覆われた全ての空間、となります。 「宙」は、世界をおおう時間・空間の広がり、という意味を持っています。 なるほど、漢字ごとの意味を合わせると、確かにそういう意味になりますなあ。 千字文は、南朝・梁(502-549年)の武帝が、周興嗣(470-521年)に作らせたことから始まっていますので、「宇宙」という語は、少なくとも1500年の歴史があるんですね。 日本人が「いろは」で数を表したように、中国人は千字文で数を表しました。 いろはは47文字、対する千字文は1000文字。これで充分事足りると思いきや、構成の人がさらに字を加えて2000文字、3000文字、果ては1万字のものまで創作したらしいです。ただし、千字文以外はまったく普及せずに終わりました。 いろはで数を表すことは、今ではあまりないですが、それでも「いの一番」(略して「いのいち」などとも言うみたいです)という表現に残ってますね。 ちなみに現代中国語では、日本で言う「宇宙」、星間空間としての宇宙を指す語は、「太空」「外層空間」のようです。 千字文全文が気になる方はhttp://www.asahi-net.or.jp/~DE3M-OZW/kansi/02senji/senji02.htmへ。 |
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