文系宇宙工学研究所へようこそ!



    宇宙ニュースが中心のブログです。同人サークル「液酸/液水」の告知ページでもあります。

    告知板  ※IE・Sleipnir・Firefox推奨。
      ようこそ文系宇宙工学研究所へ。
      管理人・金木犀の同人サークル「液酸/液水」の告知ページも兼ねています。

      ロケット打ち上げ見学の案内がメインのはず。種子島、内之浦のロケット&観光情報、最新の宇宙ニュースなどを紹介。
      打上げ見学記「ロケット紀行」シリーズ、打上げ見学と宇宙関係施設観光のためのガイドブック「宇宙へ!」などの同人誌を販売中。


     オススメ・お役立ち  
      ・種子島ロケット見学マップ(PDF版:2010年現在)はこちら(リンク先画面のダウンロードをクリック)
      ・ロケット見学案内記第6版(PDF版:2011年現在)はこちら(リンク先画面のダウンロードをクリック)

    イベント参加予定:東京とびもの学会2017 3月12日(日)於ハイライフプラザいたばし
             おもしろ同人誌バザール3 4月2日(日) 於JR大崎駅南改札前 大崎夢さん橋
             COMITIA120 5月6日(土) 於東京ビッグサイト

      自家通販            委託中(『ロケット紀行』他)通販あり
                 

    no title

    筑波から見る関東平野の夜景
    別窓 | 宇宙開発 | コメント:0 | トラックバック:0 |
    再び、北朝鮮衛星騒動から考える
     北朝鮮が『長距離弾道ミサイル発射実験とみられる「人工衛星」打ち上げを予告』したということで関係各所が大騒ぎしているようですが、これについてちょっと考えてみましょう。
     前回の打上げから3年、北朝鮮もだいぶ国際問題を学んだようです。
     2009年4月の打上げの時に書いた記事は以下から。主に軌道の話をしています。
    常識と非常識:北朝鮮衛星騒動から考える(2009/04/04掲載)

     今回打ち上げが予告された衛星は、極軌道の地球観測衛星「光明星3号」(カンミョンジョン・サム・ホ)。打ち上げ機は「銀河3号」ロケットで、平安北道鉄山郡東倉里(ピョンアンプクド・チョルサングン・トンチャンリ)の西海衛星発射場から4/12~16、各日の午前7時~12時の間に発射するとされています。

    2009年打上げとの違い
    1)射場の変更(舞水端里(ムスダンリ)から東倉里(トンチャンリ)へ)
     朝鮮半島東岸(日本海側)から西岸(黄海側)へ移動
    2)打ち上げ方向の変更(東向きから南向きへ)
     極軌道狙い、他国上空をなるべく通らない軌道
    3)事前通告のやり方
     国際海事機関(IMO)、国際民間航空機関(ICAO)、国際電気通信連合(ITU)等の関係国際機関に通告をしたとはっきり発表
     北朝鮮の打ち上げ予告は、海保の水路通報に反映済み。IMO SN回章307によって24年5162項(T)、として、2012年第12号に掲載。
     参考>
     水路通報PDF版:http://www1.kaiho.mlit.go.jp/TUHO/tuho_db/tuhoserch.html(海上保安庁)
     2012年191項(落下予想域の図入り):http://www1.kaiho.mlit.go.jp/TUHO/tuho_db/tuho.cgi?07201200179(海上保安庁)
    4)情報公開
     打ち上げ現場に「権威ある」専門家と記者を招待すると発表

     前回よりもはるかに他国への配慮が見られます。というか、事前通報関係は、最低限の部分はこれでほぼOKなのでは?

     さて、それでは、北の飛翔体はミサイルなのかロケットなのか? という話について。
     実はこれ、私にとってはあまり興味がないのです。やろうとしていることは衛星打ち上げだと思います。ネットにある飛翔経路図と1段目・2段目の落下予想区域とを見ても違和感はないですし。ですが、直感に近いです。
     前回「光明星2号」の時に、本州上空を通ったことで色々なところから随分叩かれたので、かなり配慮しているように思います。北朝鮮や韓国がロケット打ち上げをしようと思ったら、絶対にどこかの国の上空を飛ぶわけですから。今回にしても、webに上がっている予想飛翔経路からすると、フィリピンも抗議をしてきそうな気がしますが、私の情報アンテナにはそのような話は引っかかってきません。
     なお、過去の日本のロケットの飛行経路について知りたい方は、JAXAのサイトから「ロケット打上げ及び追跡管制計画書」をダウンロードしてみて下さい。図がついています。

     単純なミサイル発射実験だったら、ここまで大がかりになる必要はないし、しないでやった方が脅しという意味では効果的。更に言うと、北朝鮮ミサイル打ち上げは、国連安保理決議1718号の5条を根拠に禁止されているというのが一般的な見方でしょう。これは「弾道ミサイル計画に関わる全ての計画」を停止することを決定しています。
     では、2009年および今回、2012年の発射について、北朝鮮はなんと主張しているかというと「平和利用のロケットであり、ミサイルではない」です。これはかなり微妙な問題です。というのも、基本的にロケットもミサイルも推進原理は同じ(ロケット推進)であり、狙って軌道に投入するための誘導を必要とする点でも同じです。つまり、ロケット技術はミサイル技術に容易に転換できる、ということです。アメリカ・ロシア(含む旧ソ連)・イギリス・フランスなどでは、そもそもミサイルが先にあって、それを元に衛星打ち上げ機たるロケットを作っています。ドニエプル、ソー・デルタなどなど、ミサイル起源のロケットは多いのです。(日本のLシリーズ、Mシリーズは、そもそも大学付属研究所がやり始め、大学が固体ロケットも衛星も作って打ち上げていたという意味で、かなり特殊です)
     まぁ、ミサイルもロケットも根っこは同じ技術ですから、区分するのもどうかと思います。けれども、固体ロケットでなければ、現実問題として即応性のあるミサイルを作るのは難しいのです。(勘違いを指摘されました。北朝鮮のロケット推進機関の推進剤は常温保存可能なもの(四酸化二窒素系/ヒドラジン)なので、充填したまま待機ができます。即応性がないとはとても言えません)この辺はとても興味があるのですが、今回のロケットの構成が不明なので何とも言えません。

     両者はつながりますので安保理決議違反でしょう。

     で、日本政府の反応を見ていると、どうも過剰反応なのでは。J-アラートを活用して打上げ情報を発報し、迎撃だなどと言ってますが、そんなに大騒ぎするとかえって北朝鮮に自信を持たせてしまうことになり、思うつぼかと考えます。
     J-アラートは、内閣官房から発せられた警報が、独自の伝送路を伝わって数秒以内に全国の市町村レベルまで行き渡るという触れ込みなのですが、それはあくまで打ち上げたという情報を内閣官房がキャッチして発報するのであって、そこに情報が上がるまでにどれだけかかるかが肝要です。ロケットの飛翔速度は速いので、数分遅れるだけで、軌道次第では日本の国土を飛び越えているかも知れません。今回の軌道は沖縄の本当に隅の方をかすめるものです。ことは防衛に関わるので、PAC-3も含め、そんなに簡単に手の内さらしていいのかなぁ? 北にしてみれば日本の防衛能力と防衛担当者の頭の中が分かる良い機会でしょう。
     さらに、高度100km以上は条約によって領有権を主張できないことになっている宇宙空間。わざわざJ-アラートで全国に発報する意味は果たして……?(沖縄を軽視しているわけではありません、念のため)

     安保理決議うんぬんの話は抜きにして、私の感想を言うならば、「日本だってロケットやってるわけですから、他国の自主的な打ち上げだったら流していいのではないか」と。朝鮮半島から打ち上げるなら、韓国だろうが北朝鮮だろうが、日本上空を通るのは自明の理。

     最後に、衛星打ち上げと直感した内容を書き連ねていきます。あまり整理されていないのはお許しを。

     現在与えられている「光明星3号」の情報は以下の通り。
    ・地球観測衛星である
    ・極軌道を取る
    ・飛翔予想経路図と1段目・2段目それぞれの落下予定区域は以下の通り
    images.jpg tuho.gif
    経路図:朝日新聞 落下予定区域図:海上保安庁
     書きながら気がついたのですが、フェアリングの落下予想域が出ていませんね……。また、朝日の飛翔経路図の矢印は、実際の飛翔経路を考える上では全然全く完璧に当てになりません。あくまで発射点と落下予想海域を示した図です。

     この情報から考えられる軌道は、太陽同期準回帰軌道でしょう。これは、一定周回数ごとに同じ地表面上空に戻り(準回帰軌道)、その時は常に前回と同じ時間帯に通過(太陽同期軌道)する軌道です。太陽同期軌道は、極軌道のみで実現可能な軌道です。
     なぜこう思ったかというと、この軌道が地球観測衛星に最適な軌道だからです。一定期間ごとに同じ時間帯に同じ場所を通ると言うことは、同一条件下での観測が行いやすいのです。季節によって影の長さは変わりますが、どのくらいの伸縮があるかは予測可能です。
     地球観測衛星の観測方法は、レーダ観測か光学観測ですが、私は少なくとも光学系の観測機器は載っていると考えます。このほうが、見て分かりやすい画像が得られるからです。例えば、「これが我が国の衛星で観測した我が国土だ!」と国民に示す場合などは、分かりやすい写真であることが重要です。

     以下に、日本の地球観測衛星「だいち」(ALOS)を打ち上げた、H-IIA F7の時の飛翔経路おやび落下予想区域図に、今回の北朝鮮の予想飛翔経路と落下予想区域を大雑把に書き加えたものを掲載します。あまり厳密に線を引いていないので、「こんなもの」という参考程度にご覧下さい。「だいち」の軌道は、太陽同期準回帰軌道です。
    元図:平成17年度ロケット打上げ及び追跡管制計画書(JAXA)
    fy17_plan_j-16.jpg
     日本の場合、一度南東に向けて打った後に大きく回り込んで目的の軌道に乗っていることがよく分かります。これは、飛行中にフィリピン上空を通過するのを避けたためです。逆に言えば、この海域に島がなければまっすぐ目的の軌道に向けて打っていると思われます。
     というわけで、極軌道の地球観測衛星を打ち上げると考えた場合、軌道に大きな矛盾は見あたりません。
     まぁ、どんな軌道に飛ばしたところで飛翔実験はできますし、そもそも本当に衛星が載っているかどうかの確認はできないわけですが。けれど、「衛星打上げという発表をしたけれど実は長距離ミサイルの試験でした」という愚はさすがに犯すまいと思います。裏にそういう意図があったとしても。
     今回は、金日成生誕100年(1912年4月15日生まれ)と金正恩の最高指導者就任(最高人民会議が4月13日開催予定)を祝う祝砲なのではないでしょうか。

     ええと、あと、個人的興味で北朝鮮の打上げ、現地で見てみたいです。だって、ロケットの打上げそのものが大好きなんだもの。日本国内での打上げ見学記、12冊出してます。誰か招待して下さい~。

    別窓 | 宇宙開発 | コメント:8 | トラックバック:1 |
    お久しぶりです
     生存報告。イタリアからは無事に帰ってきました。
    ・東京とびもの学会2011に参加しました
    ・次回のイベント参加は、COMITIA100です
    ・4/21の筑波宇宙センター一般公開で、「H-IIA/H-IIBロケットの魅力を語る座談会」第二弾をやります。登壇は岩日誌管理人の岩本塚さん、天壇茶房亭主のmitsutoさん、私です。


    別窓 | 雑文 | コメント:0 | トラックバック:0 |
    | 文系宇宙工学研究所 |
    1. 無料アクセス解析