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      ・種子島ロケット見学マップ(PDF版:2010年現在)はこちら(リンク先画面のダウンロードをクリック)
      ・ロケット見学案内記第6版(PDF版:2011年現在)はこちら(リンク先画面のダウンロードをクリック)

    イベント参加予定:コミティア122 配置:K-56a 於東京ビッグサイト 11月23日(木・祝)
            :コミックマーケット93 3日目(12月31日・日)東P-01b

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    ロケットまつり44に行ってきた
     本日阿佐ヶ谷ロフトにて開催されたトークライブ「ロケットまつり44」に行ってきました。
     日本のロケットの父、糸川英夫教授について、みっちりとお話を聞いてきました。

     ちょっと違和感を覚えたのが「糸川先生の思考はちょっと常人には理解しがたい」というところ。理解できないわけではないのです。資料を見たり、話を聞いているうちに思い浮かんだ私の中での糸川英夫像は、「聞いた話・考えた話を関連づけて新たな発想を得るのがものすごくうまい」、そして「ものすごく頭の回転が速い」、「他人を巻き込む=コマーシャルとマネジメントを企画し実行する能力に長けていた」人物。とにかく人間機関車のようにパワフルで、さっと頭が切り替わって、おまけに話を聞きながらザッピングして情報を紐付けした上に一歩先まで演繹でき、そしてあまり説明に言葉を費やさないので、一見しただけでは「理解できない」という評価になってしまっているような気がしました。
     すこし時間をかけて思考過程を追って絡まった情報の紐を解きほぐせば、その考えはとてもすっきりまとまっている。ちらちらと見せられたメモを見ると、そんな気がものすごくします。凄い人物です。

     楽しいイベントでした。

     ところで、たまにはNASDA側の話も聞きたいと思うのは、贅沢でしょうか?(自分で調べろ、と言われそうですが)

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    「だいち」(ALOS)の現状を聞いてきた:宇宙開発委員会傍聴
     2011年4月27日に開催された、第13回宇宙開発委員会を傍聴してきました。その中から、「だいち」関係のことをまとめます。報道機関や宇宙関係企業・機関に所属しない、ただの一般人は私だけでした。

    「陸域観測衛星「だいち」の電力異常について」(JAXAプレスリリース)
    配付資料(PDF)への直リンク(JAXAサイト内)

    1.電力異常発生前後の運用について
     時系列順に、適宜解説を加えつつまとめます。

    2011年4月22日(金)
    ・5:59~6:35(日本標準時。以下同)の、データ中継衛星「こだま」経由の運用では正常であった。
    ・7:23~47の「こだま」経由の運用で、軽負荷モードに入っていることが判明した。テレメトリ解析の結果、6時41分10秒に電力低下があり、これが原因で軽負荷モードに入ったことが確認された。
    ・これ以降の運用で、発生電力が次第に低下していくのが確認された。テレメトリデータを地上に降ろして再生する運用や、衛星の負荷を軽減するために各所のスイッチを切るなどの運用を行った。
    ・この日の最終運用となる23:44~58のサンチャゴ局(チリ)運用では、テレメトリデータを受信できた。

    4月23日(土)
    ・この日最初の運用である0:49~のキルナ局(スウェーデン)運用で、テレメトリデータが受信できなかった。
    ・これ以降27日まで、テレメトリの受信は出来ていない。

     なお、現在バッテリは枯渇していると考えられる。

    軽負荷モード:異常発生時に搭載機器類の電源を自動的にオフにするなどし、電力負荷を最小限にして衛星の状態を把握するためのモードである。今回の場合は、「発生電力が5000Wを下回る」という条件を満たしたので軽負荷モードに移行した。

    2.異常箇所について
     テレメトリ解析の結果、姿勢・軌道の制御系や、通信系に異常は認められていない。よって、電源系の機器に何らかのトラブルが起き、電力低下を招いたと考えられる。その結果、バッテリ電力のみの供給となり、その枯渇をもって衛星の機能停止に到ったと推定される。
     今は、全ての可能性を排除せずに不具合箇所や状態の特定をしている。そのため断言はできないが、太陽電池パドルからシャントに到る経路の途中でトラブルが起きた可能性が非常に高いと考えている。(シャント:衛星バス(衛星本体)内にあって、太陽電池パドルから来た電力を電力制御器に伝達するとともに、余計な電力を熱として放出するための機器。詳しくは上記配付資料の5ページを参照)

     異常が起きたそもそもの原因についての話は出なかった。

    3.今後の計画
    ・異常発生後は地上局を「だいち」のために優先的に割り当てて運用している
    ・今後の復旧の可能性は極めて少ないものの、僅かな可能性を求めて運用継続する
    ・具体的には、太陽電池パドルに光が当たる日照時にテレメトリ受信等を行う。これは、既にバッテリが枯渇しており、日照時でなければ電力供給が期待できないためである。
    ・季節変動によって、5月中旬以降は発生電力が低下するため、ここまでは運用を継続する

     さて、ここから私見を交えます。

     「僅かな可能性」とはいうものの、復旧の望みはかなり薄いと考えます。「みどり」「みどり2」「のぞみ」……電源系トラブルによって散った宇宙機達を連想します。一縷の可能性に賭けるという点で、ショートした回路を焼き切るためにおよそ1億3000万回の同一コマンドを送り続けた「のぞみ」の運用を思い出します(今回「だいち」に起きている現象は全然違うので、同様の運用をするわけにはいきません)。
     宇宙機にとって、電力は命の源。これなくしては通信ができません。通信ができないということは、復旧コマンドの送りようもないし、現状把握も出来ないということ。トラブル時に状態を把握するための運用としては「1ビット通信」が有名ですが、電力が供給されていなければそれすらできないのです。

     私が今、「だいち」の現状をどう思っているか。人間に例えれば「死亡と推定される状態」だと考えています。死亡したと確定するためには実際に身体を医師が診察し、診断することが必須ですが、人工衛星の場合、これは技術者なり科学者なり、その衛星について知識のある人間が直接観察することに当たります。ですが、軌道上のものを直接観察することは基本的に無理(スペースシャトルで修理に行ったハッブル宇宙望遠鏡のような例外もありますが)ですので、手許のデータを元に推定するしかありません。
     そして推定はあくまで推定でしかないので、「絶対に復旧の可能性はないのか?」と問われれば「限りなくゼロに近いが、皆無とは言えない」と答えるしかないのです。

     ですが、無限に運用を続けるわけにはいきません。予算も時間も人的資源も限られていますし、大切な地上局をいつまでも塞ぐわけにはいかないのです。そこで出てきたのが「5月中旬以降は発生電力が低下ため、ここまでは運用を継続する」という話だと考えます。これをもっと分かりやすく書き換えると「発生電力低下という節目まではやりましょう」となります。上記同様医療の話に例えれば「もうほとんど無理だろうけど、家族が納得するまでは心臓マッサージを継続する」となるでしょうか。心臓マッサージなら生命の不思議、人体の力によって九死に一生があるかもしれませんが、「だいち」は人工物ですからね……。

     万が一、億が一の奇跡が起こって欲しいとは思います。「だいち」は私が初めて名付け親になり、我が子のように思ってきた人工衛星です。こんな突然の別れになるとは予想だにしていませんでした。

     ですが、これが現実でしょう。今回の宇宙開発委員会での喪失報告=臨終宣告も想定していただけに、約半月の猶予がもらえたのは嬉しいです。
     次に動きがあるのは、恐らく5月18日、あるいは25日の宇宙開発委員会ではないかと思っています。まずはそこに注目しようと思います。

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    写真:種子島宇宙センターの宇宙科学技術館に展示されている「だいち」試験モデル

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    陸域観測衛星「だいち」(ALOS)電力異常
     2011年4月22日午前6時41分から、電力供給喪失のため、軽負荷モードに移行しています。
     今年1月に目標寿命の5年をクリアして、まだまだいけるか、と思った矢先だっただけに、驚きました。
     寿命かもしれませんが……東日本大震災で緊急観測を行っているところだっただけに、バッドタイミングですね。3.11以来、被災地をとったショットは400枚以上なのだとか。

    参考:JAXA記者会見、ALOSに電力異常発生(速報版)(大塚実の取材日記)
     これは、厳しそうだなぁ。

     初めて名付けた衛星だけに、感慨深いです。

     なお、明日、4月27日開催の宇宙開発委員会(文科省にて14時~)の議題に、「「だいち」の現状について」という項がありました。恐らく何らかの発表があるものと思われます。明日のプレスリリースには要注目です。
    宇宙開発委員会(第13回)の開催について(文部科学省)

     さて、災害時の緊急観測網を担う重要なインフラとなっているはずの陸域観測衛星シリーズですが、寿命を超えるのが分かっているのに後継機が打ち上がっていないのはなぜなのでしょう?
     それでも、陸域観測衛星は、まだ上がっていないだけで、後継機の話が出ているぶん、幸せなのかも知れません。

     「だいち」のデータを地上に降ろすために重要な、データ中継衛星「こだま」(DRTS)は、とっくに設計寿命を迎えているのに、後継機が開発されてすらいません。

     これって、まずいですよね。インフラが止まるというのは恐ろしいことだと「ひまわり5号」後継機問題で身を以って知ったと思っていたのに。

    最後に、「だいち」と「こだま」について簡単にまとめておきます。

    陸域観測衛星「だいち」(ALOS):Advanced Land Observing Satellite

     主製造者:NEC東芝スペースシステム
      搭載機器等製造者:三菱電機(電源部、通信系等)NEC東芝スペースシステム(太陽電池パドル等)
     国際標識番号:2006-002A
     NORADカタログ番号:28931
     打上げ日時:2006年1月24日10:33JST、H-IIA F8にて
     寿命:設計3年、目標5年 
     軌道:太陽同期準回帰軌道:回帰日数46日(近地点698km、遠地点700km、傾斜角98.2度、周期98.7分)
     観測機器類:
      PRISM パンクロマチック立体視センサー
      AVNIR-2 高性能可視近赤外放射計2型
      PALSAR フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダー


    データ中継衛星「こだま」(DRTS):Data Relay Test Satellite

     主製造者:三菱電機
     国際標識番号:2002-042B
     NORADカタログ番号:27516
     打上げ日時:2002年9月10日17:20JST、H-IIA F3にて
     寿命:設計7年 
     軌道:静止軌道(東経90.75度)
     現状:負荷軽減のため南北方向の制御を中止、東西制御のみ。軌道傾斜角が1度になった時点で運用継続可否を判断(2012年1月ごろと予測)。なお、故障時はバックアップとしてNASAのデータ中継衛星(TDRS)を使用予定。



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    H-IIB F2/こうのとり2号機(HTV-2)見学記 1月23日~ 翌日の射場とその後
     今日も朝食は抜き。食後、宿代を支払って9時にチェックアウト。結局素泊まりと変わらない状況になってしまったが、不思議と悔しくはない。なにせ、一番危ないときは、何を見ても美味しそうに見えなかったのだから。
     まずは、射点の様子を見るべく種子島宇宙センター(TNSC)へ。道すがら、田起こしをしているのを見かけた。種子島の春は、やはり本土より早いようだ。
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     機体移動を見たのと同じ、大崎海岸に降りる。青空の下、第二射点にはまだ移動発射台が残っていた。今日は立入制限区域がないので、近づけるところまで近づいて、崖下から思う存分写真を撮る。続いて第一射点。号機表示専用と化していたPSTが解体され、ずいぶんすっきりしてしまった。なんだか物足りない。
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    上1枚:射点下から見た大崎海岸。海の透明度がものすごく高く、海岸も綺麗。おまけに快晴で、ものすごく気持ちが良い。

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    上1枚:流れ着いていた瓶。ファイト、一発!

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    上4枚:第2射点と移動発射台

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    上3枚:H-IIB F2時点の第1射点

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    上2枚:H-IIA F18/みちびき時点の第1射点(比較用)

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    上2枚:解体されたPSTの残骸。奥の旧中型発射整備棟も、予算が付き次第解体されるとのこと。

     今日は、飛行機の時刻から逆算すると、13時の船に乗らねばならないので、あまり時間がない。この後は宝満神社にお参りして(私はその後の体力温存のため、麓から遙拝しただけでしたが)、西之表港へ。コスモラインのロケットにて本土へ。時計と首っ引きで、時間との勝負だ。
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    上2枚:帰りの道中にて

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    上2枚:宝満神社(しないつぐみさん撮影)

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    上3枚:赤米館(あかごめかん)。宝満神社下にあり、参拝の際によく車を停めている場所。……ずっと「あかまいかん」だと思っていたら、違いました。

     鹿児島港から港へは、タクシーにて移動。幸いにも乗り合わせる方がいたので、5000円程度で済んだ。高速船埠頭や桜島フェリー埠頭経由の空港行きバスがあればいいのになぁ……。

     17時のスカイマークにて、帰京。飛行機の中で、胃腸風邪にかかってから初めての食事を取る。ウィダーインゼリーを、涙ぐみながら飲み干す機会は、今後もそうないだろう。ものが食べられるのが、こんなに素晴らしいことだったとは。
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    上2枚:鹿児島空港にて

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    上2枚:搭乗機材。ウイングレットのマーキングは「サクランボ」。

     家に何とか辿り着き、シャワーを浴びてそのまま布団に沈没。今回は大変だったなぁ……。

    補足:帰宅後、うどんが食べられるようになるまで2日、ごくふつうのご飯がお腹の心配なく食べられるようになったのは7日後のことだった。

    その後
     こうのとり2号機は無事にISSに到達、大過なく任務を果たし、3月30日正午過ぎに大気圏に再突入して消滅した。ミッションコンプリートおめでとうございます。

     ずいぶん時間がかかってしまいましたが、H-IIB F2/こうのとり2号機(HTV-2)見学記は今回にて終了です。お付き合いありがとうございました。


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