文系宇宙工学研究所へようこそ!



    宇宙ニュースが中心のブログです。同人サークル「液酸/液水」の告知ページでもあります。

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      ようこそ文系宇宙工学研究所へ。
      管理人・金木犀の同人サークル「液酸/液水」の告知ページも兼ねています。

      ロケット打ち上げ見学の案内がメインのはず。種子島、内之浦のロケット&観光情報、最新の宇宙ニュースなどを紹介。
      打上げ見学記「ロケット紀行」シリーズ、打上げ見学と宇宙関係施設観光のためのガイドブック「宇宙へ!」などの同人誌を販売中。


     オススメ・お役立ち  
      ・種子島ロケット見学マップ(PDF版:2010年現在)はこちら(リンク先画面のダウンロードをクリック)
      ・ロケット見学案内記第6版(PDF版:2011年現在)はこちら(リンク先画面のダウンロードをクリック)

    イベント参加予定:コミティア122 配置:K-56a 於東京ビッグサイト 11月23日(木・祝)
            :おもしろ同人誌バザール4 配置:57 於ベルサール神保町 10月28日(土)
            :コミックマーケット93 (当落待ち)

    イベント以外での本の購入は以下のバナーをクリック↓
        紙版:自家通販     紙版:ショップ委託(通販あり)
         

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    久々の「島」(問題提起も兼ねて)
     2017年10月10日午前7時1分37秒、H-IIA F36/準天頂衛星みちびき4号機(QZS-4)が打ち上げられました。
     私は島で見守りました。2014年12月3日のH-IIA F26/はやぶさ2以来、実に2年9ヶ月振りに、種子島からの打ち上げを現地で見ることができました。
     この間、打ち上げのチャンスは12回ありました(一頃に比べれば大幅な増加。こんな日が来るなんて驚きです)がタイミングが合わず、やっとの思いで行ったH-IIB F5、H-IIA F30と振られ続け、なかなかつらい思いをしてきました。
     晴れでも曇りでも小雨でも良い、とにかく種子島からの打ち上げが見たいのだ! という一心でいたところ、今回は三連休に1日付ければ見に行ける、という素晴らしい日程。1週間ほど前から天気予報を観察し続けていたら、当初「発雷の可能性のある雨」だった予報が、曇り・晴れと良くなってきていました。北朝鮮の建国記念日がまさに打ち上げ予定日なので、「ミサイル発射による影響での中止」が気に掛かるところではありますが、天候は全く問題なさそうです。コレで中止になったら実に恨めしい。
     
     上陸したのはは8日。数時間ロケハンして、最後に見学できたときからの状況変化を追います。
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     翌9日も、機体移動時刻まで粘って、打ち上げ見学ポイントを巡ります。
     機体移動は種子島灯台で見ようとしたのですが、「海保の土地だから」という理由でJAXA職員さんに追い出されました。何だか妙な話です。大崎海岸といい灯台といい、見られる場所がどんどん減っていくのは、とても悲しいことです。
     結局、旧第四光学付近から見ることにしました。20kg近い機材を、灯台からアップダウンの多い道を通って運ぶのは、なかなかしんどいことでした。
     当初17時に予定されていた機体移動は、トラブルによって延び、結局始まったのは19時でした。久々に日のある内の移動だったので楽しみにしていたのですが、これは致し方ありません。
     移動後、警備に立っていた職員さんに話を聞いてみました。人手不足によって従来解放していた機体移動見学場所全てをカバーしきれないという安全上の問題が発生しており、これが近年の見学場所減少につながっているとのことでした。そして旧第四光学上は「次に見学ポイントが閉鎖されるようなことがあったら、高確率でここが引っかかるだろう」ということでした。
     2017年10月9日現在解放している機体移動見学ポイントは、以下の4箇所になります。
    ・ロケットの丘展望所
    ・竹崎海岸および旧小型ロケットランチャ周辺
    ・旧第四光学上の進入路
    ・旧中型ランチャに降りる坂道
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     移動時間はよく晴れたので、素晴らしい夜景を楽しむことができました。発射台の避雷針鉄塔の間から月が昇る景色を見られるようなチャンスは、もう二度とないかも知れません。

     翌10日は、朝4時半から動き出します。見学場所は迷った末に上里地区に決めました。逆光になりますが正面構図は捨てがたい魅力です。
     今回迷ったのは、以下のポイントでした。
    ・上里地区
    ・七色坂展望所
    ・増田通信所方面
     七色坂は、晴れれば田圃・海・海岸・岬という、島を表す記号を全て詰め込んだ打ち上げ写真を撮ることができます。10日は快晴だったので非常に良い条件だったのですが、惜しいかな田圃が全て刈り入れ済み。これではあまり楽しくありません。
     増田方面はいくつかポイントがあるのですが、割合に狭いところが多く地元の方が見に来るので、その方々に迷惑は掛けたくないと考え、却下。

     上里に着いた当初は雲一つ無い空でしたが、やがて沖合にもくもくと雲塊が沸いてきました。結果としてこの雲がうまく太陽を隠してくれたお陰で、快晴の逆光にもかかわらず良い写真を撮ることができました。
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     2泊3日の戦果に満足して、その日のうちに島抜けして帰宅。とても良い打ち上げでしたです。
     恵美之江の一件がなければ、もっと楽しかったでしょう……。それについては以下に。


     射点に最も近い公式見学場である恵美之江展望公園は、今回下見したときにかなり見学者の素行が悪かったのが目に付きました。自分で見たことと、聞き及んだこととをまとめると、定年退職をしたぐらいの年頃の男性を中心に、以下のような振る舞いが見られました。

    ・キャンプ禁止にもかかわらず、テントを張る
    ・駐車場で、自分が停めた車の隣の駐車枠をテントなどで占有する
    ・自分の物ではない椅子や三脚を、場所確保の為に崖下に投げ捨てる
    ・前日に駐車枠にブルーシートを敷き、場所取りをする(場所取りをしたら、車も人もどこかに行ってしまう)
    ・これらの行いを注意した人に逆ギレ

     あまり偏見は持ちたくないのですが、この年頃の方々は自分勝手が過ぎる人が他の年代よりも目立ちます。そういう人はここは見ないでしょうが……。今までは、入り口にロープを張って解放時刻まで閉鎖することで治安を保ってきました。今回は打上げ時刻が早いこともあって、見学者を信用してロープなしにしたところ、このような事態になってしまったのでしょう。

    参考:写真のために枝をポキッ! 景勝地での度重なるマナー違反にプロカメラマン「もっと謙虚な気持ちで」(ねとらぼ)
     トラブルの本質は、これまで鉄道や航空で起こってきたことと本質的には同じだと思います。つまり、見学者の数が増えれば一定数の阿呆が紛れ込むということと、相対的にわがままな人物が多い年代が、自らの正義(外から見ればわがままの鼻つまみ者でしかない)を振りかざしてやってきたと。
     それが宇宙周りにもついに波及してきた、ということです。まだ芽が小さい内にきちんと対策を取って摘んでおかないと、後々ひどいことになるでしょう。対策をやるなら今です。
     本当は彼らにここを読んで欲しいですが、それはほぼあり得ないことです。残念ながら。同人の世界だと「古参が新参にマナー、ルールを説こう」という不文律があったりするわけですが、こうしたマナー、ルールの伝承も、相手が聞く耳を持たなければ意味がありません。よしんばそれについて書かれたこのブログや上で紹介したねとらぼの記事を読んだところで、自分のことだとは思わないでしょう。あの手合いにとっては、自分は絶対に間違えない存在なので、自分が反省することや過ちを認めることは望むべくもありません。啓発をして良くなるようだったら、鉄道のトラブルはもっと少ないでしょう……。
     見学者が増えるということは、何らかの理由があるはずでしょう。また、それら新しく来た方がどこで情報を得ているのかも気になるところ。ちょっと調べて見ようと思います。

     ということで、一応、小さな声ではありますが南種子町へ報告と対応をお願いするメールをしてみた次第です。

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    『MABES「じんだい」』再版作業中
     2016年の冬コミで頒布開始した人工衛星「じんだい」本ですが、早くも品薄状態なので再版の準備にかかっています。
     来る1017/04/29~30のニコニコ超会議に間に合うようにしたい所存。

     ここからが大事です。再版に当たっては、第一部の文章にだいぶ手が入ります。
     第1刷は諸事情によって入稿まであまりにも時間がなくなってしまい、文体統一ができずに読みづらいものになってしまっているので、さすがに申し訳なくて……。とはいえ内容が増減したりするわけではないので、改訂ではなくあくまで第2刷です。
     そんなわけで、まだお持ちでない方で買おうかどうしようか迷っている場合は、もう少しお待ちいただけるとより洗練されたバージョンがお届けできるという次第。

     以上、予告でした。
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    とびもの学会2017来場御礼
     東京とびもの学会2017、液酸/液水のブースにお立ち寄り頂いた方、金木犀をかまってやって下さった方、ありがとうございました。とても楽しく過ごすことができました。
     さて、本日の新刊『日本衛星カタログ第三版』ですが、予想以上のご好評で、残部的に書店委託が出せません。 直接お問い合わせ頂けましたら対応可能ですので、通販希望の方はご一報お願いします。

     また、C91発行の『MABES「じんだい」』については、手持ち在庫がなくなりました。こちらは誤脱字や編集ミスを含め、内容を少し修正し増刷を考慮中です。また、COMIC ZIN様には通販・店頭とも在庫がございますので、こちらでお求め頂くようにお願いします。
     更に、『宇宙へ! 第3版』についても手持ち在庫がなくなりました。こちらは本の性質上、紙版のご用意がすぐには難しいため、電子化含め善後策を考慮中です。また、COMIC ZIN様の通販は取り扱い終了ですが、店頭には少数在庫があるようです。紙版をお求めの方は、COMIC ZIN新宿店もしくは秋葉原店に直接お問い合わせ頂きますようお願いします。


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    「ユニバース」ご来場御礼
     2017/02/18の「ユニバース」、たくさんの方にご来場頂きましてありがとうございます。
     2回ともほぼ満席という盛況ぶりで驚きました。
     少しでも打ち上げや、種子島や内之浦への旅行に興味を持って頂けたのなら嬉しいです。

     それでは、次はどこかの宇宙施設か射場の辺りでお目にかかりましょう。


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    科学ライブショー「ユニバース」にお招き頂きました
     直前の告知でごめんなさい。
     東京・九段の科学技術館で毎週土曜日にやっている科学ライブショー「ユニバース」にゲストとしてお招き頂きました。
     本日、2017年2月18日(土)、第一回: 14時~ 第二回: 15時30分~ 各回約40分のうち、最後の10分程度の時間を頂き、東京から鹿児島までロケットを見に行って帰るまでのお話をしたいと思います。よろしくお願いします。

    「ユニバース」公式サイト
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    イプシロン2号機/「あらせ」(ERG):久々に打ち上げを見た
     2014年12月3日、H-IIA F26/はやぶさ2が打ち上げられました。幸先の良さを感じさせる、青空にまっすぐ伸びる気持ちのいいロケット雲が印象的でした。

     それから丸2年、打ち上げに振られ続ける日々が続きました。
     2015年8月のH-IIB F5/「こうのとり」5号機は延期に泣き(この機会だからとフェリー「はいびすかす」に乗って帰るあたり、転んでもただでは起きないのです)、16年2月のH-IIA F30/「ひとみ」もまた、延期に泣きました。(帰りに初めて呉と江田島に行けました! やっぱりただでは起きません)あ、でも、F30は都庁の展望台から飛行中と第一周回後の残存燃料放出の姿を見ましたよ! その後ペイロードの「ひとみ」は残念なことになりましたが。

     3度目の正直なるか、と挑んだのが16年12月20日予定のイプシロン2号機/ERG(ジオスペース探査衛星)です。一発勝負で挑んだ見学でしたが、見事成功! 2年と2週間ぶりに打ち上げを眺めることができたのでした。
     固体ロケットの夜打ちを見るのは初めてのこと、いったいどのように撮ったものやら。
     設定に悩みながら現地に行ってみると、前日までの雨で地面がものすごく湿気ていて、そのせいで湿度が高い。望遠レンズ越しにロケットを見てみると水蒸気のせいでゆらぎ、もやけ、ピントが合わせづらいことこの上ありません。しかもレンズは数分で完全に結露してしまい、どうしようもありません。
     こんな条件での撮影は初めてです。事前に考えた設定は全く吹っ飛んでしまい、現状合わせで少しずつ設定を追い込んでいくことになりました。

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    いつも成功の願掛けに買っている万カツサンド越しに射点を見る。「何やってんだ」と突っ込まれました。

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    鮮やかな夕焼け。雲はありません。この時はまだ湿度との戦いになろうとは思ってもいませんでした。

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    打ち上げを待つイプシロン2号機。
    明るさが残るうちに何とかピントを追い込んでいく過程での1枚。

     IMG_3851のコピー

    発射! 10秒前までレンズの露を拭っていました。

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    夜なので、長時間露光で軌跡を撮ろうと画策しましたが、夜露にやられて果たせず。
    リベンジしたいです。

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    打ち上げ翌日、成功祝賀の横断幕。

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    ランチャは予想より焦げていませんでした。煙道の効果でしょうか。

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    ジオスペース探査衛星ERGの愛称は「あらせ」になりました。命名の由来となったのは肝付町を流れるこの川です。

     イプシロン2号機では、射点が見える唯一の見学場所である宮原台地に行くためには、二重の選別を経なければなりませんでした。ひとつめは前回同様の事前抽選に当選すること、二つ目は、5500円のバス代を払うこと。前回の道路混雑を受けて警察から指導が入ったと言うことで、指定場所に車を留めた上で街が手配した(近畿日本ツーリストに委託)シャトルバスに乗っていくことが必須でした。宮原台地以外は特に制限はなく、自家用車やレンタカーで行くことが出来ました。
     この5500円のバス代をどう見るか、です。
     私は宮原から写真を撮りたかったので支払いましたが、高額だと感じました。鹿屋から宮原まで往復するだけ、他は何にもありません。夜でしたから、せめてお弁当と飲み物くらいは欲しいところです。撮影者としては、打ち上げ後余裕をもって機材撤収をしたいところでしたが、これも叶わず。泡を食ってとりあえず詰め込んでバスに戻るという慌ただしいことになりました。
     先述の通り、宮原は射点が見える唯一の一般見学所です。ということは、しっかり撮影したいマニアはお金を払ってもここにやってきます。実際、そうでした。持ち込む機材も多いので、撤収にも時間がかかるわけですから、せめてあと15分出発までの余裕が欲しかったです……。

     いつもなら、射点を眺めながらネット中継を見て衛星分離まで見届ける、としているところです。さすがにこれは長いとしても、打ち上げ後30分は短すぎます。急かされていたので余韻に浸ることもあまりできませんでした。
     今回は平日の打ち上げだったこともあり、事前抽選とは言っていましたが予定数を下回り、3次募集まで行われていました。もう少し宣伝を上手くやっていれば、もっと人が集められたのではないかなあと思います(撮影者としては増えすぎると困ってしまうのですが、町としてはその分お金が落ちますからね)。
     というわけで、バス運用の趣旨には賛成なのですが、運用と告知には色々と改善点があるのではないかと思うのでした。
     夜打ちは美しかったぞ!

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    今回の撮影機材。OLYMPUS E-P1+LUMIX G X VARIO PZ 14-42mm/F3.5-5.6 ASPH./ POWER O.I.S.
    Canon EOS 50D+ZUIKO 300mm F4.5
    OLYMPUS OM-1+ZUIKO 28mm F2.8
     E-P1はたぶん今回限りで退役です……。

     打ち上げ見学記をここで書くのは何年ぶりでしょうか。久々すぎてちっとも文章のカンが戻ってきません。SS-520-4/TRICOM-1も見ているのですが、それはまたそのうちに。


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    イプシロン2号機打ち上げ予定発表
    イプシロンロケット2号機によるジオスペース探査衛星(ERG)の打上げについて(JAXA公式)
    打上げ予定日 : 平成28年12月20日(火)
    打上げ予定時間帯 : 20時00分~21時00分(日本標準時)
    打上げ予備期間 : 平成28年12月21日(水)~平成29年1月31日(火)
    打上げ場所 : 内之浦宇宙空間観測所
     夜打ちキターーーーーーーーーーーーーーー!
     冬コミ原稿入稿後だーーーーーーーーーーーーーーー!
     ということで行くのを前提に予定を組みたく思う次第。ただし、直前の12月9日にH-IIB F6/こうのとり6号機があり、このスケジュール次第では遅れていく可能性が充分にあります。(可搬式アンテナとかを内之浦まで持ってこなけりゃなりませんし)
     あと、宮原台地は今回も抽選とのこと。
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     SS-520-4はいつだろうなあ……。こちらが今年度の本命なのですが。

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    ロゼッタ・ミッション終了によせて:1枚のイラストから思ったこと
     2016年9月30日、ESAの彗星探査機「ロゼッタ」のミッションが終わりました。打ち上げは2004年3月2日のこと。アリアン5+によってギアナ宇宙センターELA-3発射台から旅立ちました。
     その時の様子は、ESAのサイトにアップロードされています。
    Launch of Rosetta, 2 March 2004(ESA)

     目標としていた彗星 67P/Churyumov-Gerasimenko(チュリモフ・ゲラシメンコ彗星)に到着したのは2014年8月6日。その年の11月12日に着陸機「フィラエ」を投下します。
     当初は2015年末で終了予定でしたが9ヶ月の延長が認められ、本日、C.G.彗星に硬着陸し、12年6ヶ月と28日という、長期にわたるミッションを完遂することとなりました。
     ロゼッタミッションは、そもそも1986年のハレー彗星最接近時の国際協力探査――「ハレー艦隊」と呼ばれる――を受け、その後を見据えて計画されたものです。
     当初はNASAとの共同でしたが、1992年に離脱したため、以降はESAの単独ミッションとなりました。
     1992年からと考えても24年、ハレー彗星最接近の年から考えると30年。最初から関わった人は、職業人としての人生の半分以上をこの探査機に捧げたという計算になります。
     探査機の名前「ロゼッタ」は「ロゼッタ・ストーン」に由来します。1799年7月15日、ナポレオンのエジプト遠征の際に再認識されてヨーロッパに持ち帰られ、その後シャンポリオンによるヒエログリフの解読のきっかけとなった石版です。
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     彗星を探査することで、そこに秘められた太陽系や生命の起源を「解読」しようという意気込みが感じられます。
     着陸機の「フィラエ」も、ヒエログリフ解読に関係する名前です。その由来は「フィラエ・オベリスク」。1815年に上エジプトのフィラエ島で発見されウィリアム・ジョン・バンクスが入手したオベリスク(石柱)です。ヒエログリフ解読には直接繋がらなかったのですが、シャンポリオンによる解読の際に、バンクスの研究が寄与したことが評価されています。
    Geograph-1789450-by-Eugene-Birchall.jpg(Credit : Wikipedia)
     ……というミッションの概説は、webを探せばいくらでも出てきます。公式サイトも充実しており、大抵の情報はここを見れば大丈夫です。
    http://www.esa.int/Our_Activities/Space_Science/Rosetta(公式/英語)

     久々にブログを更新する気分になったのは、今日、ロゼッタミッションの公式twitterアカウントから 発信された一枚のイラストについて書きたかったからなのです。

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     任務を終えたロゼッタ探査機を、6機の先輩と1機の仲間が迎えています。
     左からすいせい、ディープ・インパクト、ISEE-3/ICE、ジオット、ベガ(号機不明)、スターダスト、フィラエ。
     すいせい、ICE、ジオット、ベガはかつてハレー艦隊を組んだ偉大な先輩探査機たち。ディープ・インパクトは彗星に衝突機を打ち込んで内部を探査しようという試みをした機体で、スターダストは宇宙塵を地球に持ち帰った最初のサンプルリターン・ミッションです。フィラエは一足先にC.G.彗星で眠りに就きました。真ん中にジオットを置くのはさすがです。この探査機はESAのものでしたから。
     このイラストを見ながら涙が溢れました。終わりなんだなあという感慨と、歴史の一部になってゆく実感と、偉大な先輩達に迎えられるくらいの成果を上げ、無事にミッションが終わる事への安堵と。
     もちろん私は一介のファンに過ぎません。この記事をお読みの皆様の中には、部外者がこうした感慨を持つことをよしとしない方々も居られることでしょう。
     ですが、打ち上げ直後から動静を見守ってきた者としては、大きな感慨を覚えるのです。
     長いことお疲れ様でした、ロゼッタ。まだ見ぬ世界の素敵な写真をたくさん見せてくれてありがとう。そこに行けたことが少し――否、かなり羨ましいぞ。
     そして、願わくば後に続く探査機が現れますように。

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